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    快晴の槍ヶ岳

日 時 2025年7月11日(金)~14日(月)  

場 所 北アルプス 槍ヶ岳

メンバー Oo、Sk、Ai、Sn、Ok、他1名

行 程       

7/11(金) 八王子6:35 ⇒ 松本 10:17/10:45 ⇒ 新島々 11:15/11:30

→ 上高地BT 12:35/13:00 … 徳沢 14:50/15:05 … 横尾山荘 16:12

7/12(土) 横尾山荘 5:00 … 一ノ俣 6:00/6:15 … 槍沢ロッジ 7:00/

7:15 … ババ平 7:58/8:12 … 大曲 8:45/8:54 … 天狗原分岐 10:20/

10:45 … 播隆窟 12:45 … 槍ヶ岳山荘14:27

7/13(日) 槍ヶ岳山荘 6:20 … 槍ヶ岳山頂 6:55/7:05 … 槍ヶ岳山荘 7:55/8:25 …

播隆窟9:25 … 天狗原分岐 10:50/10:55 … 大曲 11:58 … ババ平 12:27/12:45 …

槍沢ロッジ13:20/13:30 … 二ノ俣 14:00/14:07 … 横尾山荘 15:18

7/14(月) 横尾山荘 7:00 … 徳沢 8:08/8:25 … 上高地BT 11:00/11:25 → 新島々 12:30/

12:48 ⇒ 松本 13:17/15:10 ⇒ 八王子 17:29 ⇒ 立川 17:38   

 

7/11(金) 晴れ時々曇り                         

槍ヶ岳には、もう登ることも無いだろうと思っていたが、Oさんの企画を知って、行けるものなら行きたいと、欲が出てきて参加させていただくことにした。その日が近づくにつれ、胸中は期待より不安の方が大きかった。お天気は、山行期間の少なくとも3日目までは良さそうなので、神様に感謝だ。新島々駅からのバスは、あらかじめ予約していたので、スムーズに乗れた。上高地BTに着くと、大型バスがずらりと並んでいた。一大観光地だ。これでも、夏休み前なので、まだ少ない方なのだろう。中国や韓国からのインバウンドが多そうだった。

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帰りのバスを予約して、昼食後、出発。快晴で陽ざしが強く暑い。明神を過ぎると、だいぶ人が少なくなった。曇りがちになってきて、一時ポツポツ雨が降ってきたが、徳沢に着く頃には、空が明るくなってきた。長い林道歩きに飽き飽きして、ようやく横尾山荘に到着。木の香りがする綺麗な宿で、石鹸は使えないが、いい湯加減のお風呂に入り、気持ちよく過ごせた。

7/12(土) 快晴                           早朝の静かな横尾山荘を出発、宿泊客の半数程は朝食を待たず出発の模様である。前日に朝のお弁当として届けられたのは、ジャムパンなど3種、チーズひとかけ、Soy Joy、ゼリーなどが入ったパックだった。我々にしてみれば少しボリュームがありすぎるということで、メンバー2人で1パックの購入に変更した。翌日は再びこの横尾山荘に戻るので、不要物は預かってもらい出発する。遠くの前穂高や眼前の立派な橋にしばしお別れ、雲ひとつない恐ろしく晴れた天候に安心すると同時に、もしやカンカン照りの道中になるのでは、あるいは雷が来るかもとか別の心配が頭をもたげる。槍見河原を左手に順調に進みすぐさま一ノ俣、そして槍沢ロッジへと進む。このあたりより、朝に上高地に着いたという若者や前日徳沢に泊まったというグループ、団体が背後からどんどん追い上げて来ては通り過ぎて行く。すごいな―という感嘆の思いはあるものの、我々のペースは死守したいという自身の頑なさに少々複雑な心境だ。

槍沢ロッジからは進行方向の木々のあいだにちょこんとトンガリ帽子のような穂先が見える。来た方向を振り返ると蝶ヶ岳と蝶槍が望める。メンバーは常念岳を期待しているがそれが見え始めるのはもうしばらく行った先であった。道はまだ穏やか、河原に流れ注ぐ豊富な山からの水音に癒される。メンバーの一人がワサビだと葉をちぎる。わたしには蕗にしか見えないのによく発見されたと感心する。茎は苦い味がしたそうな。

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ババ平を過ぎ日も高くなり尋常な暑さでないことがだんだんこたえてくる、まだ朝なのに。暑い暑いと休みつつも天狗原分岐までたどり着く。雪渓で涼しそうにじゃれ合う猿たちがうらやましい。あんなに何も気にせず冷たい雪渓の上を走り回りたい!このあたりから道はゴロゴロ岩の石道になり始める。水場を過ぎる頃には木陰がだんだんなくなり、まれに、あった!と見つけても大抵先客がどっかりと腰を下ろしていて陰を分けていただく余地もない。

朝、出発の時、頂上までの急登のところは余力を充分残しておくように、とサブリーダーがおっしゃっていたけど、ようやく意味が分かったのはこの後であった。

槍は見える、小屋も山の上に見える、しかしなかなか近づけない。暑い、肩の荷物は,「ああ、何を入れてきたんだろう」と思う程、ずっしりと感じる。そしてジグザクの道が途方もなく長く感じる。途中の“坊主の岩小屋”ではもうなんか朦朧とした気持ちで、下山時にあらためて見たほどの感慨深さを往き道ではあまり感じでいなかったように思う。頂上までは雪渓を3か所渡ることになるが、どちらもシャーベット状になっており、よく踏まれてアイゼンは必要としなかった。時折風に漂うツリガネニンジンのムッとした匂いに悩まされつつ暑さと足のだるさ、そして少しの登りでも上がる息。どこかの宣伝ではないが「モー無理」と何度も叫びそうだった。殺生ヒュッテ分岐を通り過ぎる、そのネーミングに今まさに殺生やん!と思えた。名前の由来を後から調べてみると、『昔この場所で猟師が狩猟をしていたことから、その地を「殺生平」と名付けたことに由来する』とのことで、おのれのしんどさとは全く関係なしでした。

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そろそろ山頂のざわめきが聞こえ始め、もう少し、もう少し、とよろよろ歩いている時に、甲高い女性の声で「ラック!」「ラック、ラック!」と聞こえたかと同時に比較的大き目の石が小屋と槍の間位から、カーンカンカンと音を立てながら転がり落ちていくのが見えた。幸い我々の道からはかなり外れており心配はなかったが、落石、というものを初めて見た。30㎝弱程の石であったが、まさに缶が転がり落ちるように軽々とカン、カンと軽く音を立てて直下に落下して行く様子には驚いた。と同時にあの程度でも結構な速さで落下しているのだからもっと大きなものだったらどうなっていただろう、自分達の方向に来ていたらどうなっていただろうと想像すると恐怖だった。

まさに這う這うの体で小屋に到着。男性陣は疲労のせいか、乾杯ビールもなく全員寝床でぐっすり眠ってしまっていた。女性陣は各施設の散策と販売グッズの確認に余念なく、やはり山頂ならではの徐々に冷えて来る体の巡りを整えるのに精を出し、夕飯までカフェでお茶をすすりその時を待った。300人定員で当日は170名程の宿泊者であったということだったそうだが、もう充分賑わっていたように思えた。こんな山頂の1ポイントだけで人口密度がググっと高いなんて!

夕食内容は中華のおかずにご飯、お味噌汁。男性一名は全く食欲がないということで心配したが翌朝には回復した模様で安堵した。全身塩にまみれたと言っても過言でないベトベトの体を横たえ、明日の槍の穂先への道程を想像し、朝はご来光は見えるんかな、とか 明日の横尾山荘のお風呂がやっぱり楽しみとかいろいろ思い巡りつつあっという間に寝入ってしまっていた。   

 

7/13(日) 快晴                            

 夜中、ヒューヒューと強風が吹き荒れる音がしたので、天気は大丈夫だろうかと不安になった。しかし、朝には真っ青な空が広がっていた。今日はいよいよ槍の穂先に登る。小屋の前からは穂先がこちらに迫ってくるように見える。何となく緊張している。

 朝食後、簡易ハーネスに下りの鎖場での架け替えのために短いスリングとカラビナを装着してヘルメットを被って出発した。登りは三点支持での岩登り。幸いなことに、夏休み前だからか登山者が少ないので渋滞はなく、ひたすら上を向き、次はどこに手を掛け足を乗せるか集中してマイペースで登ることができた。最後の直立した2本の長いハシゴを登りきると一気に視界が開け、狭い穂先の上に立った。感無量!素晴らしい天気で風も無く、360度の絶景を楽しめた。北アルプスの山々、立山連峰や剱岳、笠ヶ岳の向こうには白山、御嶽山や乗鞍、南アルプス、八ヶ岳の向こうに遠く富士山も望めた。小さい祠(雷を避けるために釘が一本も使われていないとか)に、無事に登頂出来たことと帰りの安全を祈り、下りに取り掛かった。登りより緊張する。後ろ向きにハシゴを下り、鎖場では、カラビナの架け替えで慎重に下った。後ろ向きだと次の足場の距離感がつかみにくく思いのほか距離があってヒヤヒヤしたことも。しかし、カラビナをかけることでの安心感はあった。若い人にとっては、もたもたと下る集団と思われたかもしれない。実際に、トレランシューズを履いた若い男性のグループが抜いていった。そのうちに、安全対策の重要性に気付く時が来ると良いと思う。我々は、1時間半ほどで往復し無事に山荘にもどった。緊張からか、喉がカラカラになっていた。

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 ひと休みしてから横尾山荘を目指して下った。岩ガラの道を滑らないように慎重に歩き、時々立ち止まって後ろを振り返って槍を眺め、周りのお花畑を楽しみながらひたすら下った。今日も快晴で、真っ青な空が眩しい。前方には、富士山が小さく見えた。登りの時は余裕がなかったが、槍ヶ岳を開山した播隆上人ゆかりの播隆窟をゆっくりと見ることができた。大きな岩屋(坊主の岩小屋)だった。ここで、1834年の登拝時には53日間籠って念仏を唱えたとか。3か所の雪渓を無事に通過し、ジグザグに下り水沢に着いた。槍はもう見えなくなった。今日も日差しが強くて暑い。冷たい水が嬉しい。正面から日を浴びて急斜面を下り、天狗原分岐に着いた。天狗原方面の斜面にはまだ雪がかなり残っていて、雪解け水が幾筋もの滝となりゴーゴーと槍沢に流れ込んでいた。今日は雪渓の上に猿の姿は見当たらなかった。右下に槍沢が流れ、左の東鎌尾根側には今を盛りのお花畑が広がる急斜面を下っていくと、水俣乗越分岐(大曲)に着く。やっと少し木の陰が出てくるが、すでに先客がいて休む場所が無い。ちょっと補水してババ平のキャンプ場まで下り、やっと木の陰で休憩した。留守のテントが3張。立派なトイレがあった。このあたりからは樹林帯となり日差しが柔らかくなった。槍沢ロッジまで下ってきた。5時間が経ち足がだいぶ疲れてきた。二ノ俣と一ノ俣の立派な橋を渡り、槍見河原から最後の槍の穂先を眺めて、横尾山荘に戻った。7時間、穂先の往復を含めると約9時間。よく歩いた。

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会の講習「岩トレ」、「ロープワーク」、「雪上訓練」を実践して、その重要性を認識した一日であった。月曜日だったからか、宿泊客は20名ほどだったので、ゆっくりと横尾山荘のお風呂と美味しい食事で疲れを癒した。

今回、初めて槍ヶ岳に登った。もう登る機会は無いだろうと考えていたが、企画書を見て今が最後のチャンスかもしれないと気持ちが動いた。思い切って参加して良かった。天気に恵まれ、ちょうど花の時期でもあった。また、夏休み前でさほどの混雑も無く、十分に楽しむことができた。

 

7/14(月) 快晴                             

 やり遂げた感と、今日は林道を歩いて帰るだけなので、とても気が楽だ。前穂高岳や明神岳が朝日に照らされて輝いている。今日もお天気の心配が無さそうなので良かった。徳沢で新築のトイレをお借りした。明神からは梓川右岸を行くことにして、穂高神社奥宮で無事登頂下山のお礼をして、多くの観光客に混じって遊歩道を上高地BTに向かった。

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 梅雨明け前だというのに、快晴のお天気に恵まれ(暑さにはまいったが)、槍ヶ岳に無事登頂することができて、眺望も最高だったし、花もたくさん見られた。同行の皆さま、本当にありがとうございました。

 

 
 
 

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